リアルさを追求した音源は必要か?

DTMの発達に伴い、PCさえあれば、誰でも簡単に、しかも本格的な音楽制作が可能になった。

昔は、打ち込みというと「ピコピコピコピコ」していて、いかにも”打ち込み!”という感じだったけれど、いまやソフト、ハード共に、”音源”は驚くほどリアルなものになった。作り込み次第では本物と聞き間違えるほどに。

ピアノ音源ひとつとってもみても、生ピアノをマイク録りするよりも、音源を使った方が”いい音”になることの方が多い。しかも、いろんな種類のピアノの音がプリセットされているから、機材を揃える手間も要らない。
実にすばらしい!(もちろん、生ピアノをマイク撮りする意味はある)

さらに、音だけでなく、ギターのカッティング奏法やチョーキングなど、打ち込みでは再現不可能と思われていたことも、作り込み次第では驚くほど再現可能なレベルになってきている。実にすごい。

いまや、音楽制作において電子音楽は必要不可欠。
そして、エレクトロなリズムや音の気持ちよさを、僕らは十分に知ってしまった。

そんな中、先日とあるミュージシャンがこう言っていた。

「リアルさを追求したドラム音源なんて要らない。リアルさを追求するならドラマーに叩いてもらえばいい。」と。

確かにそれも一理ある。
リアルさを追求するならば、やはりドラマーに叩いてもらった方がいいし、そっちの方が速い。
僕もそうすると思う。

でも、電子音楽の功績は、PCさえあれば、たとえ楽器が弾けない人でも簡単に、しかも本格的な音楽制作が可能になった、というところにもある。

楽器も弾けない、バンド経験もない、ましてや音楽業界などとは無縁の人が、リアルさを追求した音が欲しいからといって、生ドラムを叩いてくれるドラマーが周りにいるのか?という根本的な問題。
そこを見落としている。

打ち込みは打ち込み。リアルさを追求したいなら実際に楽器を演奏せよ。とするならば、音楽制作は専門知識のある人しかできない敷居が高いもののままだったろう。

リアルさを追求した音源は必要。

ちなみに、先日、タップ操作でギターのオープンコードをジャンジャカ演奏できるiPadアプリで遊んだ。
実におもしろい。音源がわりとリアルだったから、なおさらおもしろい。

hijiri