アマゾン、通常配送料を無料に – 10周年記念イベントで発表
対象となるのは、アマゾン ジャパンから通常配送またはコンビニ受け取りで届く商品の配送料。
従来は1件300円、1500円以上購入した場合に限り無料だったが、今後は完全無料になる。
アマゾンも本気を出してきたというか、競合他社や関連業界に挑戦状を叩き付けたとも思えますね。
この発表がどんな意味を持つのか考えてみました。
まず、消費者側からすると配送料無料は大変歓迎されるものです。
ネットショッピングは非常に便利なものですが、配送料がネックになっていたのは実感としてありますし、特に低価格商品になればなるほど大きな問題でした。
配送料込みの値段と、実店舗に行くのと、どちらが安いか計算している人もたくさん居るのではないでしょうか。
その配送料が完全無料となれば、大変嬉しい限りですね。
さらに、日本も米国のようにクレジットカードでの支払いが現金よりもメジャーになれば、配送料だけでなく振込手数料もかからなくなり、ネットショッピングの未来が切り開かれるといっていいですね。
一方、売る側にとってはどうでしょうか。
書籍、CDなど、従来まで配送料がかかっていた1500円未満の商品でも、アマゾンに出品するという選択肢が増えるでしょう。
結果的にアマゾンでの取り扱い商品は増加することになるのですが、これも歓迎されることですね。
このように、一見メリットしかないように思える配送料完全無料の発表ですが、大きなデメリットも見え隠れしています。
まず確実なのは、実店舗に行く理由がなくなるということ。
書店やCDショップは大打撃どころの騒ぎではないでしょう。
そして、再販価格維持制度(以下、再販制度)が意味をなくす可能性もあるかもしれません。
これらの品目について再販制度が維持されている主な理由は、一定の価格で全国で販売することができるようにすること、とされています。
つまり、全国どこで買っても書籍やCDが同じ値段で販売されているのは、この制度が維持されているからなのですね。
これがないと、送料という点で東京と地方とで価格差が生まれてしまいます。
つまり、アマゾンが配送料を無料にしてしまうと、再販制度の根底が覆る可能性がある訳です。
再販制度がなくなれば、間違いなく商品の価格は下落します。
これが一度はじまると歯止めはきかず、売れる商品と売れない商品との間で価格差はどんどん開いていきそうです。
さらに、再販制度がなくなると、廃盤制度もなくなり、店側の完全買取になります。
完全買取となれば、店側は必ず売れる商品しか仕入れませんね。
そして店が仕入れてくれそうもない商品はメーカーも作らなくなってしまうでしょう。
再販制度を守る事は、多くの作家やアーティストに幅広いチャンスが与えられ、次世代を担う新しい才能、文化が育まれれているとも言えるのです。
安く商品を手に入れることよりも、幅広い書籍や音楽を選択できる環境を守ることの方が大事だと思います。
ということで、アマゾンの配送料完全無料を発端として以上のことが起これば、実店舗、出版業界、音楽業界は破綻し、作家、アーティストは食べて行けなくなる、かも。
まぁ、日本でも時限再販制度を導入してはどうでしょうかね。
音楽業界ではすでに一部導入されているようですが、発売2年以降は店舗が自由に値引き出来るような制度を。
間を取った対応といったところです。
hijiri