グルーブと高揚感

グルーブというのは「ノリ」のことです。
ジャンルによって感じるグルーヴは様々で、このグルーヴ感の会得は演奏者にとって必要不可欠な要素のひとつでもあります。
また「高揚感」を現す言葉でもあります。
 
生演奏の場合、この高揚感によってリズムやテンポがうねります。
「はしる」とか「もたる」というのもグルーブの一種ですが、これらの言葉はネガティブな意味として使われる事が多いです。
 
ゆえに、昔はとにかく正確なリズムやテンポをキープすることが重要だと考えていました。
 
近年、コンピューターでの音楽制作が主流になり、オケと同期してライヴを行うアーティストも増えてきました。
コンピューターで制作されたリズムやテンポは寸分の狂いもない正確なものです。
そこには生演奏の「高揚感」は存在しません。
もちろん、ジャンルによるグルーブ感を再現する為に、リズムや発音タイミングをズラすことはありますが、これは「高揚感」とは違います。
 
グルーブのないリズムとテンポ。
それまでネガティブに捉えていた「はしる」「もたる」ことのないリズムとテンポ。
これにはじめて出会った時、その気持ちよさに酔いしれました。
 
そんなグルーブのないリズムとテンポの気持ちよさを知ったいまだからこそ、生演奏の「高揚感」をより一層気持ちよく感じています。
その昔、ネガティブに捉えていた「はしる」ことが、ひどく気持ちいいのです。
生演奏にはそもそも「高揚感」があり、「はしる」ことは当然のことなのだと気づきました。
 
コンピュータで制作された音楽でも、生演奏の方が遥かに素晴らしいと感じるのは、やはりこの高揚感、グルーブなのだと思います。
 
hijiri