歌い手というのは、歌詞を書いて歌で伝える。
10年前に書いた曲を歌えば、その時の気持ちに戻されて、時にはつらい想いもする。
それがとても苦しい。

と、COMPLEX再結成の際に、吉川晃司さんが話していた。

少し分かる。

歌い手というのは、歌詞を書いて歌で伝える。
そこには、実体験やその時の感情、伝えたいことで溢れている。

消化された想い、昇華された想い、それらとまた向き合うことになる。

音楽家に限らず、ものづくりに携わっている人ならば分かるでしょう。
10年前の自分の作品を見返したなら、なんとも言えず、恥ずかしかったり、苦い想いをしたりするでしょう。

それは、成長した自分が、過去の自分の未熟さに打ちのめされるだけとは限らず、当時の自分と向き合うこと、その刹那。

歌で伝えたいことは、年齢や経験、時代を重ねるごとに、変化していくもの。
常に、いま伝えたいことはなにか？を考えること。
それは、人間であるがゆえ。
表現者で居続ける為の、とても大切で、尊いリアル。

hijiri